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令和2年度第4回館山市定例会


豊かな農業生産を維持するために

食のまちづくりの拠点を整備する方針が公表され、今議会でも補正予算案の中に債務負担行為として盛り込まれました。稲の市有地活用方法として、長年検討されてきました。立地条件などの不安はありますが、市としては「食のまち」としてのブランド力を強め、地産地消を進めるために整備したいという考えです。

食のまち、地産地消には豊かな農水産物の提供が必須ですが、農漁業の担い手の高齢化、後継者不足は深刻です。2020年の農林業センサスによると、館山市の農家の平均年齢は68.8歳,65歳以上が73.9%です。農漁業を守り、育てていくための対策を急がなくてはなりません。

耕作放棄地の増加を防ぐ取り組みを地域の話し合いで

国が推進している「人・農地プラン」や「中間管理事業」は、後継者のいない農地を、地域の他の農家が耕作を行うようにする仕組みです。長年丹精込めて耕されてきた農地を荒れ地にしないために、ぜひ取り組んで欲しいと考えます。

「人・農地プラン」の作成は、耕作放棄を防ぎ、より強い農家を育てることに繋がりますが、地域の農家の話し合いが必要になります。現在は6地区で作成が完了しています。「中間管理事業」は農地を貸したい農家と借りたい農家をつなぐ仕組みで、令和元年度は30件、7.1ヘクタールの農地で利用されています。これらの制度の活用を進めて農地の荒廃を防ぎ、経営基盤のしっかりした農家を増やすためには、地区ごとに将来を見据えた話し合いが必要となります。

新規就農希望者の受け入れ、育てる仕組みを

農地を力のある農家が集約して生産規模を拡大することと同時に、新規就農者を増やすことも必要です。コロナ禍の今、田舎で農業を始めたいという人も増えています。その人たちに館山を選んでもらうこと、自立できるよう育てていくことが大切だと思います。新規就農者募集のPRや、移住相談との連携、国の「青年等就農資金」の紹介、研修制度の充実が求められます。また、地域起こし協力隊の制度の活用の一つの方法です。

農家の高齢化、耕作放棄地の増加の問題はこれまで幾度となく議論されてきましたが、中々解決を見ません。農家の規模拡大、ブランド商品の開発、作業の効率化、スマート農法など新しい技術の導入により農家の所得を安定させること。新規就農の際の資金面、技術面でのハードルを下げることがカギになると考えます。

食のまちづくり拠点は、2023年度開業で20年契約の予定です。2043年の館山市で豊かな食材を提供するためには、今何をしなければならないか、生産者だけでなく多くの市民が一緒に考えていくことが大切です。


地球温暖化防止のために

食を支える第1次産業は異常気象の大きな影響を受けます。昨年の台風被害は顕著な物でしたが、農作物の病害虫による被害、適正作物の変化なども起きてきます。館山近海でとれる魚の種類も変化しています。

また、昨年台風19号の翌朝、避難所で「やっぱり地球温暖化対策に取り組まなきゃだめだよ」という声を聞きました。台風被害の後片付けの作業の際も、多くの方が同じことを話していました。

二酸化炭素排出量削減のために更なる取り組みを

菅総理は2050年までに二酸化炭素排出をゼロとすると表明しました。大きな工場がない館山では、排出される二酸化炭素の多くはゴミの焼却に由来するものです。ゴミを減らす取り組みを進めることが、二酸化炭素排出量を減らすことに繋がります。リデュース(減量)、リサイクル(再生)、リユース(再利用)、リペア(修理)の4つのRを私たちも心掛けたいです。市の仕組みとしても、フードバンクの活用、古着の回収、過剰包装の見直しなどを進めて欲しいと思います。      

再生可能エネルギーの活用促進を

館山市は、太陽の光が溢れ、風が吹き、植物資源にも恵まれています。再生可能エネルギーの宝庫です。産官学民の協働事業を推進することで、再生可能エネルギーの活用を進めるべきと考えます。現在館山市内の使用電力のうち、再生可能エネルギー由来は約12%です。この割合をさらに上げて、地域内の電力を地域内で生産し、災害時はその電力を活用する仕組みを作ることも今後の研究課題です。

地球環境を守っていく姿勢を気候非常事態宣言で

気候非常事態宣言を表明する自治体は増え、国会でも可決されました。今年の台風の時には、多くのテレビ局が富崎地区に入って「昨年の台風15号で大きな被害を受けた館山では…」と中継をしていました。館山市が気候非常事態宣言を表明することに大きな意味があると思います。市としては、宣言だけではなく、具体的な施策と合わせて考えたいとのことです。

地球温暖化防止については今後、国の補助事業が増えることも予想されます。機を逃さず早急な対応を望みます。

再生可能エネルギーを地域内で活用する仕組みを作ることは、災害時の電力確保につながります。また、クリーンなエネルギーで自然に優しい暮らしのできるまちとして、移住促進にも繋がるのではないでしょうか。

令和元年の台風以来、市内外の多くの方たちが、館山の再生、復興のために動いています。地球環境を守ることに積極的に取り組む姿勢を見せることがこの努力に報いることだと考えます。

令和2年4月議会で決定した主なこと

・マイナンバーカードを利用して、コンビニエンスストアでの印鑑証明の受け取り開始(令和3年3月予定)

・有害鳥獣対策事業 1420万円増額

・自立支援等給付事業 1億1909万円

・学校施設改善事業 (トイレ改修、耐震改修等) 1億1676万9千円

・ひとり親世帯臨時特別給付金 2364万1千円

・高齢者等PCR検査助成金  600万円

債務負担行為として (今年度終了しない事業の後々の支出を決めておくことです)

・食のまちづくり拠点整備事業   限度額 5億6000万円

・食のまちづくり拠点施設指定管理委託料  限度額 4億円

・ジビエ加工処理施設整備事業         限度額 1200万円

・ジビエ加工処理施設指定管理委託料  限度額 1875万円

・第三中学校校舎解体工事請負費  限度額 3億2000万円

ICT支援員派遣委託事業    限度額 4617万4千円

・地域包括支援センター運営事業委託料【令和3年度から5年度まで(令和4年度からセンターを現在3か所から4カ所へ増設)】 

 限度額 2億5487万6千円

おわりに

新型コロナウイルス感染症が私たちの生活に大きな影響を及ぼしました。新しい生活様式が叫ばれています。

小中学校でのタブレット端末配備、コンビニでの印鑑証明の受け取りを皮切りに、デジタル化が一気に進むと予想されます。

市内循環バスの実証実験、食のまち拠点整備、ジビエ加工処理施設整備など新しい事業が始まります。国土強靭化計画、旧神戸小学校跡地の利活用、公共交通がない地域での移動手段、西岬消防署と神戸分遣所の統合など様々な課題の検討も始まっています。また、昨年館山市がいくつかの団体、企業、大学と結んだ包括協定を、具体的な施策へと発展させる作業も行われなくてはなりません。

多くの変化が起きる節目です。「いつの間にか変わっていた」ではなく、変化をしっかりと見据え、私たちの生活と子どもたちの未来にとってより良い方向へ変えるよう一緒に考えていきましょう。


by hitomi-orange | 2020-12-26 16:05 | 館山市議会 | Comments(0)

鈴木ひとみ 政策


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